歯磨きしても虫歯になるのはなぜ?
虫歯になりやすい人の特徴・原因
「歯磨きをきちんとしているのに、なぜか虫歯になってしまう」という人がいます。歯科医院として、頑張っている患者さんが報われないのは、とても辛いことです。
しかしこのような状況の多くは、歯科医院で原因を調べないまま、“なんとなく歯磨きをしている・予防をしている”ために起こっています。
虫歯になる原因は、患者さんによって異なります。まずはご自身の「虫歯の原因」が何であるかを、当院で調べてみませんか?
口内に悪玉菌が多い
口内には腸内と同じように善玉菌と悪玉菌が存在し、そのバランスによって、歯磨きをしていても虫歯になりやすい方がいます。何らかの原因で善玉菌が減る・悪玉菌が増えると、虫歯リスクが高くなります。この菌のバランスは、歯磨きの有無とは関係ありません。
唾液の分泌量が少ない
唾液には口内を洗浄する働きがあるため、分泌量が少ないと虫歯になりやすいとされています。
唾液の分泌量が少ない、または分泌速度が遅い場合、口内環境が悪化し、虫歯のリスクが高まります。
よく噛んで食べること、唾液腺マッサージをすることなどで、唾液の分泌を促しましょう。
歯の質
エナメル質がもともと丈夫な人もいれば、反対に弱い方もいます。歯の質が弱いと感じる・弱いと指摘された方は、歯磨きなどのセルフケアを丁寧に行うことも大切ですが、歯科医院での定期的なフッ素塗布をおすすめします。
歯質の強化、再石灰化の促進により、虫歯のリスクが抑えられます。
歯並びの乱れ
歯並びが良くないと、食べかす・歯垢・プラークが溜まりやすくなります。虫歯だけでなく、歯周病のリスクも高くなります。
矯正治療によって歯並びを改善すれば、汚れが溜まりにくくなり、虫歯・歯周病のリスクの抑制につながります。
磨き残しが多い
磨き残しが多いと、虫歯や歯周病のリスクが高くなります。
正しい歯の磨き方は、歯科医院で教えてもらうことができます。染め出し液を使えば、磨けている箇所・磨けていない箇所がひと目で分かります。
歯ブラシだけでなく、デンタルフロス・歯間ブラシ・ワンタフトブラシを併用することで、磨き残しが少なくなります。
甘いもの・酸っぱいものの
食べ過ぎ
虫歯の原因菌であるミュータンス菌は、糖分を分解して乳酸を生成することで歯を溶かします。そのため、甘いものを頻繁に/たくさん食べていると虫歯になりやすくなります。また、酸っぱいものの摂り過ぎにも注意が必要です。口の中が酸性に傾き、虫歯のリスクが高くなります。
ダラダラと食べる
長い時間をかけて食べていると、お口の中が酸性に傾く時間が延び、エナメル質が溶けやすくなります。よく噛むこと・食事を楽しむことも大切ですが、テレビを見ながら・ゲームをしながらといった「ながら食べ」で食事の時間が必要以上に長くならないよう注意しましょう。お子さんのおやつも、きちんと食卓について、決まった量が食べられるように意識していきましょう。
口呼吸をしている
口の中は通常、唾液によって潤っていますが、口呼吸の癖がある方は乾燥しがちです。お口が乾燥すると唾液の分泌量が減るため、虫歯菌などの細菌が繁殖しやすくなります。
口呼吸は、歯並びの乱れ、呼吸障害、感染症の原因になることもありますので、気になる方は一度当院にご相談ください。矯正治療など、口呼吸改善のための方法をご提案します。
生活習慣病が乱れている
乱れた生活習慣は唾液の分泌量を減らし、口内での細菌の増殖を招きます。 その結果、虫歯リスクが高くなります。
生活リズムが不規則、睡眠不足、お酒の飲み過ぎ、ストレスなどがある場合には、その改善に取り組みましょう。
歯ぎしり・くいしばり・
噛みしめが強い
過度な力が歯にかかり続けることで歯が欠けたり、詰め物がとれてそこから虫歯になるリスクが高まります。
虫歯になりやすい人の改善方法
虫歯になりやすいという人は、まずは以下のような方法を試していただくことをおすすめします。ただし、これらはあくまで一般的な内容です。
当院にご相談いただければ、よりお一人おひとりに合った、具体的な方法を指導・アドバイスをすることができます。虫歯予防のためのメニューも多数ご用意しておりますので、お気軽にご相談ください。
食生活や間食の仕方を変えましょう
間食の回数が多いと、口内が糖分で満たされ、虫歯の原因となる酸性の状態が長時間にわたって続きます。間食をしたい時は、時間を決めて、食事との間隔を空けるようにしましょう。口内が酸性になる時間を短くすることが大切です。
近年は、糖質を抑えたお菓子やキシリトールなど、虫歯菌が分解できない甘味料を使用した食品も増えてきているため、そのようなものを活用してみるのも良いでしょう。
歯科医院で指導してもらい、正しい歯磨きを身につけましょう
回数が十分でも、磨き残しがあれば歯磨きの効果は薄れてしまいます。歯磨きの方法や道具を見直し、効果的な歯磨きを心がけましょう。歯間ブラシやデンタルフロス、奥まった部分を磨きやすいワンタフトブラシを使用することで、磨き残しを大幅に減らせます。
歯磨きをする時間が取れない場合には、口をゆすぎましょう。何もしない場合と比べると、虫歯のリスクを多少抑えられます。
定期的に歯医者でメンテナンスしましょう
セルフケアだけでは、お口の中の歯垢・歯石を落とせません。定期的に歯科医院でクリーニングを受けましょう。ご来院の際には、虫歯や歯周病のチェック、歯磨き指導なども行います。また、患者さんの虫歯リスクに応じた、予防メニューのご提案もできます。
プラークコントロールのためには、ご自宅で行うセルフケア、歯科医院で行うプロフェッショナルケア、その両方が大切になります。
定期的に歯科医院に通うことで、もし虫歯や歯周病になってしまった時にも、早期発見・早期治療が可能です。
正しい歯磨きの方法と工夫の仕方
正しい歯磨きの方法と、さらに効果を高める工夫についてお伝えします。
食後すぐに歯を磨く
「食後すぐの歯磨きは避けるべき」と言われることもありますが、当院では食後すぐに歯を磨くことを推奨しています。食後すぐの歯磨きを控えるよう言われていたのは、口内が酸性に傾いている可能性があるためでした。しかし、酸性の食品ばかりを摂取するわけではないことや酸の影響を受けやすい象牙質はエナメル質によって保護されていることから、食後すぐの歯磨きでも象牙質が傷つく可能性は低いと考えられます。多くの医療機関でも、食後すぐの歯磨きが推奨されています。
自分の口に合ったブラシの使い方を指導してもらう
歯ブラシを“何となく”で動かしても、汚れを十分に落とすことはできません。
また、正しい歯磨きは、その患者さんのお口の状態によって異なります。定期検診で、ご自分のお口に合った正しい磨き方を、歯科衛生士さんに教えてもらいましょう。
フッ素入りの歯磨き粉を使う
フッ素には、歯の表面の結晶構造を強化し、虫歯への抵抗力を高める作用があります。現在、さまざまなフッ素入りの歯磨き粉が市販されています。
なお、研磨剤入りの歯磨き粉は基本的におすすめしません。研磨剤がエナメル質を傷つけ、一時的によく磨けたように見えますが、長期的には傷によって汚れが溜まりやすくなる・着色しやすくなるためです。