歯垢と歯石の違い
歯垢とは
歯の表面を指で触ると、ネバネバしたものが付着していることがあります。これが歯垢で、別名「プラーク」とも呼ばれます。歯垢は、食べかすなどの単なる汚れではなく、細菌の塊です。1mgの歯垢には、約300種類、1億個もの細菌が存在すると言われています。歯垢は食後4～8時間ほどで形成され、水に溶けることもないため、うがいですぐに落ちることはありません。そのため、食後の歯磨きがとても大切です。
特に、歯と歯の間、歯と歯ぐきの境目、奥歯の溝など、隙間の多い部分は歯垢が溜まりやすいので、意識して丁寧に磨きましょう。
歯石とは
歯石は、磨き残された歯垢が唾液中のカルシウムなどと結合し、硬くなったものです。歯石は、歯ブラシでは除去できないほど硬いため、歯科医院での除去が必要です。歯と歯ぐきの境目や、歯と歯の間など、歯磨きのしにくい場所に形成されやすい傾向があります。また、歯石の表面はザラザラしているため、さらに歯垢が付着しやすく、歯周病の原因となることもあります。
歯の表面が綺麗に見えても、奥歯の頬側、下の前歯の裏側、さらには歯ぐきの中に歯石が付着している場合もありますので、定期的に歯科医院で除去してもらいましょう。
歯石の見た目・見分け方
歯石は、唾液中のカルシウムやリンと結びつき、約2～3日で石灰化します。
歯石かどうかを見分けるには、以下の方法があります。
- デンタルフロスが引っかかる、または段差を感じる
- 舌で歯の表面を触るとザラザラする
また、歯石は歯の健康に以下のような悪影響を与えます。
- 汚れが蓄積しやすくなり、虫歯や口臭の原因となる
- 歯石の表面は粗いため、汚れが付きやすい
- 歯周病の発症・進行リスクを高める
- 歯ぐきに炎症を引き起こす（歯肉炎）
これらの悪影響は、歯石が細菌の温床となり、歯周組織への刺激となることが原因です。
歯石は2種類ある!?
黒い歯石と白い歯石の違い
歯石は、付着する部位によって、以下の2つに分けられます。
白い歯石＝歯肉縁上歯石
歯と歯ぐきの境目より上に付着する歯石です。
簡単に言えば、外から見える歯石ということになります。
特徴
成分：唾液中のミネラル成分によって石灰化したもの
色：黄白色～灰白色
硬さ：歯肉縁下歯石に比べて柔らかく、比較的除去しやすい
影響：歯肉炎の原因となる
黒い歯石＝歯肉縁下歯石
歯と歯ぐきの境目より下、歯周ポケットと呼ばれる部分に付着する歯石です。
外からは見えません。
特徴
成分：歯ぐきからの出血が原因で、血液中の成分が唾液のミネラルと結合して石灰化したもの
色：黒褐色
硬さ：歯肉縁上歯石よりも硬く、除去が難しい
影響：歯周病の原因となる
黒い歯石は「歯周病進行」のサイン
白い歯石は、歯周病ではない方の歯にも付着する一般的なものです。
しかし、黒い歯石は歯周病によって歯周ポケットが深くなった部分に付着するため、その存在自体が歯周病の進行を示唆しています。
歯石の色が変わるのはなぜ？
白い歯石は、歯垢が唾液中のミネラル成分と結合して硬くなったものです。
一方、黒い歯石は、歯ぐきの炎症による出血が原因で、血液中の成分が唾液中のミネラル成分と結合し、硬くなったものです。
そのため、色が黒っぽくなります。
歯垢・歯石を放っておくとどうなる？
歯垢や歯石を放置すると、口臭、虫歯、歯周病などを引き起こす原因となります。歯と歯ぐきの隙間に歯垢や歯石が溜まると、細菌が歯周ポケットを形成し、さらに奥深くまで侵入します。そして、歯ぐきに炎症を引き起こし、歯を支えている骨を溶かしていきます。
特に歯周病は自覚症状が現れにくいため、重症化するまで気づかないケースが多いです。気づいた時には「歯が抜ける寸前だった」という事態を防ぐためにも、日頃から予防を心がけることが大切です。定期的な歯科検診と毎日の丁寧な歯磨きで、歯垢や歯石の付着を防ぎ、お口の病気・トラブルを予防しましょう。
自分では落とせない
白い歯石・黒い歯石の取り方
白い歯石
歯ぐきの上に付着した白い歯石は、通常、エアスケーラーや超音波スケーラーといった機器を用いて除去します。これらの機器は歯の表面にのみ接触するため、普段から知覚過敏などがなく、歯ぐきに強い炎症がない限り、痛みを感じることはほとんどありません。
また当院では、短時間で効率的に歯垢・歯石を除去できるEMS社の「エアフロー」もご用意しております。（別途料金がかかります。）
黒い歯石
歯周ポケット内に付着した黒い歯石は、白い歯石よりも硬く、歯の根に強固に付着しているため、除去が困難です。そのため、歯の形や位置に合わせた専用の器具を用いて、一本ずつ丁寧に手作業で除去していきます。歯ぐきの炎症が軽度であれば、麻酔なしでも痛みをほとんど感じることなく除去できます。
しかし、炎症が強く、痛みを感じやすい場合は、患者さんのご希望に応じて局所麻酔を行いながら施術いたしますのでご安心ください。