子どもの歯の色が違う?!変色の原因
お子さんの歯の色に異変があれば、親御さんは大変ご心配されることと思います。
少しでも気になる変色があれば、お気軽に当院にご相談ください。
お子さんの歯の色に違いが見られる場合、一般的には次の５つの原因が考えられます。
歯のケガ・歯をぶつけた
内出血が起きている
転倒やボールの衝突など、歯に強い衝撃が加わると、歯が灰色に変色することがあります。これは歯の内部の歯髄からの出血が原因で、いわゆる内出血です。出血が歯の組織に浸透することで、灰色に見えるのです。強い衝撃で神経が死んでしまうと、茶色っぽく変色することもあります。
神経が死んでしまった
前歯で多く見られる症状で、歯が一本だけ黒ずんで見える場合があります。過去に強い衝撃を受けたことで歯の神経が死んでしまい、変色を起こしているケースです。小さなお子さんは転ぶことが多いため、気づかないうちに歯をぶつけてしまい、変色につながることがよくあります。
乳歯の変色の場合、症状がなければ永久歯への生え変わりまで経過観察することが多いです。しかし、症状が重く化膿し、歯ぐきにニキビのような膿が出てきた場合は、早急に歯の根の治療が必要です。
乳歯の奥にある永久歯への影響を防ぐためにも、注意深い観察が必要です。
虫歯になっている
初期虫歯
歯垢（プラーク）の中の細菌が、食べカスの糖から酸を作り出し、歯のエナメル質を溶かすことが虫歯の始まりです。「脱灰」と呼ばれるこの現象では、初期症状として歯が部分的に白く濁って見えます。
進行している虫歯
虫歯が進行すると、患部は茶色や黒っぽく変色します。乳歯は永久歯に比べて柔らかくエナメル質も薄いため、汚れが溜まった状態が続くと虫歯になりやすいです。また、進行も早くすぐに神経へと達するため、早期の治療が大切です。
飲食物よる着色
食べ物や飲み物に含まれる色素によっても、歯は茶色く変色することがあります。お茶には着色しやすいカテキンが含まれており、日常的に緑茶やウーロン茶、紅茶・コーヒーなどを飲むと歯が茶色くなります。
着色しやすい飲食物は他にも、以下のようなものがあります。
- チョコレート、ココア（ポリフェノール）
- カレー、ソース、オムライス（ケチャップ）
- 納豆、豆乳（イソフラボン）
- イチゴ、ブルーベリーなどのベリー類（ポリフェノール）
歯の健康という面では問題ありませんが、クリーニングによって着色を落とすことが可能です。また、「着色だろう」と思っていたら実は虫歯だった、ということもあります。
気になった時には、お気軽にご相談ください。
エナメル質の形成不全
歯の最外層であるエナメル質の形成に異常が生じることで、歯の色や形に影響が出ます。遺伝性のものもありますが、多くの場合は非遺伝性で、歯の形成過程における何らかの障害が原因です。障害は、栄養不足や乳歯の強い衝撃による永久歯へのダメージ、乳歯の歯根への膿の蓄積、高熱が出る病気、特定の抗生物質の服用、過剰なフッ素摂取などが考えられます。この場合、歯の一部が白っぽく、または黄色や茶色に変色します。
このような歯は、虫歯になりやすい可能性があるため、丁寧なブラッシングと経過観察が必要です。
見た目が気になる場合は、変色部分を削って樹脂を詰める治療も可能です。
タバコの受動喫煙
周囲の大人の喫煙によって、副流煙が子どもの歯を茶色く変色させることがあります。タバコの煙は、吸っている人の呼気だけでなく、ソファや絨毯、カーテンなどにも付着し、長時間残留するため、子どもの歯や歯肉にも影響を与えます。また、着色だけでなく、虫歯や歯周病のリスクも高まります。
さらに、気管支喘息や小児がん、中耳炎、注意欠陥・多動性障害などのリスク増加も指摘されています。お子さんのためにも、できる限り禁煙をおすすめします。
子どもの歯の色がおかしい時の対処と治し方
歯をぶつけた場合
転倒や衝突などで歯を強く打ち、ぐらつきがある場合は、放置すると歯が抜けてしまう危険性があります。強い衝撃による歯のぐらつきや脱落は、歯ぐきの内部に問題が生じ、永久歯への影響も心配されます。乳歯を守るため、永久歯の正常な発育のためにも、すぐに当院にご相談ください。
また受診までは、歯を触らない・動かさないようにしてください。
虫歯の場合
初期虫歯
歯の白さに変化が見られ、初期虫歯に気づいた場合は、丁寧な歯磨きとフッ素塗布で、初期虫歯の修復できる場合があります。できるだけ早く、当院にご相談ください。
膿が出ている虫歯
歯が変色し、さらに膿が出ている場合は、緊急の治療が必要です。膿は、虫歯の進行により歯ぐきや歯根に細菌が侵入し、炎症を起こして溜まったものです。放置すると、神経が死んでしまったり、永久歯に悪影響を及ぼす可能性があります。そもそも膿が出るほどの状態では、激しい痛みを伴うはずです。
痛みを和らげ、症状の悪化を防ぐためにも、放置せず当院にご相談ください。
着色汚れの場合
着色の原因となる食品をすべて避けるということは、現実的ではありません。特にお子さんの場合、栄養バランスの観点からも、「着色が気になるから」という理由で特定の食品を避けるということはおすすめしません。
着色汚れを防ぐには、正しい歯磨きがもっとも効果的です。食後には、すぐに歯を磨く習慣を身につけましょう。正しい歯磨きの方法については、当院でもご案内しておりますので、お気軽にご相談ください。
エナメル質形成不全の場合
エナメル質形成不全による歯のまだらは、エナメル質の構造の乱れによって生じるもので、脱灰とは異なります。ホワイトスポットやブラウンスポットなど、歯の色がまだらになります。ブラッシングやホワイトニングでは改善が見られません。
MIペースト
エナメル質形成不全が軽度であれば、ミネラル（カルシウム、リンなど）を塗布することで、ホワイトスポットが消失することがあります。歯を削る処置ではないため、負担が少ない治療法ですが、牛乳由来成分のため、乳製品アレルギーの方は使用できません。
ダイレクトボンディング
歯のホワイトスポット部分を削り、歯科用プラスチック（コンポジットレジン）を接着する治療法です。施術直後はきれいになりますが、プラスチックは吸水性があり、経年劣化による変色や再治療が必要となる場合があります。
受動喫煙が原因の場合
副流煙による歯の着色は、虫歯や歯周病のリスクを高めます。重度の虫歯は、これから生えてくる永久歯にも悪影響を及ぼす可能性があります。お早目に当院にご相談ください。
ご家族に喫煙者がいる場合は、お子さんの健康のためにも、できる限り禁煙をおすすめします。難しい場合には、屋外で喫煙する等の対策が必要です。